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障害年金と障害者手帳は
まったく別の制度です
障害年金と障害者手帳は、名前が似ているため、同じ制度だと思われることがあります。しかし、目的も、認定基準も、手続きも異なります。
手帳がなくても、障害年金の対象になることがあります
手帳の有無や等級だけで、障害年金を受給できるかどうかは決まりません。両方の要件を満たす場合は、それぞれの手続きを進めることができます。
この記事では、がん患者の方からご相談の多い、障害年金と身体障害者手帳の違いを中心に、精神障害者保健福祉手帳との関係や、診断書を依頼する際の注意点も説明します。
障害年金と障害者手帳の違いを比較
| 比較すること | 障害年金 | 障害者手帳 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 生活を支える年金の支給 | 障害の状態を証明し、支援や割引などを利用する |
| 根拠となる制度 | 国民年金・厚生年金保険 | 身体障害者福祉法、精神保健福祉法など。手帳の種類によって異なる |
| 等級 | 障害基礎年金は1・2級 障害厚生年金は1〜3級 |
身体障害者手帳は1〜6級 精神障害者保健福祉手帳は1〜3級 |
| 主な確認事項 | 初診日、保険料の納付要件、障害の状態など | それぞれの手帳の対象となる障害の状態など |
| 主な相談窓口 | 年金事務所など。障害基礎年金の請求は市区町村の年金窓口の場合もある | お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口 |
| 手続き | 年金の請求が必要 | 手帳の交付申請が必要 |
※療育手帳は知的障害のある方を対象とする手帳です。判定区分などは自治体によって異なります。
障害者手帳そのものが、お金を支給するものではなく、基本的にはサービスを提供するものです。
年金は偶数月の15日に、お金を支給するものです。
障害年金の対象と等級
障害年金は、病気やけがによって生活や仕事などに支障がある場合に、一定の要件を満たすことで受け取れる公的年金です。現役世代の方も対象となります。
障害基礎年金は1・2級、障害厚生年金は1〜3級です。どの年金を請求できるかは、原則として初診日に加入していた年金制度などによって決まります。障害手当金は、障害厚生年金とは別の一時金です。
がんの障害年金では、手術による機能障害だけでなく、がんや治療による全身の衰弱、日常生活や仕事への支障なども含めて判断されます。ただし、がんと診断されたことや、ステージだけで受給が決まるわけではありません。
障害の状態に加えて、初診日や保険料の納付状況などの要件を確認する必要があります。20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合など、取扱いが異なるケースもあります。
障害者手帳の種類と等級
障害者手帳には、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳があります。それぞれ対象や基準が異なります。
身体障害者手帳
身体障害者福祉法に定められた身体の機能障害が、一定以上あり、永続することを要件として交付されます。がんや治療によって生じた障害も、認定基準に該当すれば対象になります。
交付対象の等級は、重い順に1〜6級です。等級表には7級もありますが、7級の障害が一つだけでは交付の対象になりません。複数の障害がある場合などの取扱いは窓口で確認してください。
原則として定期的な更新はありませんが、障害の状態に変化が見込まれる場合などは、再認定が行われることがあります。
精神障害者保健福祉手帳
精神疾患により、長期にわたって日常生活や社会生活に制約がある方を対象とする手帳です。等級は1〜3級で、有効期間は2年間です。継続して利用する場合は更新手続きが必要です。
診断書による申請では、その精神疾患についての初診日から6か月以上経過した時点の診断書が必要です。がんの治療中に精神疾患を併発した場合も、その疾患や生活への支障などが基準に該当するかを確認します。
療育手帳
知的障害のある方を対象とする手帳です。自治体によって名称や判定区分などが異なります。がんの罹患を理由に交付される手帳ではありません。
等級の関係と申請の注意点
身体障害者手帳と障害年金の等級は連動しません
身体障害者手帳が1級だから、障害年金も必ず1級になるわけではありません。認定基準が異なるため、手帳の等級だけで、障害年金の等級や受給の可否を判断することはできません。
身体障害者手帳の対象外でも、障害年金の対象となる場合があります。手帳を持っていないことだけを理由に、障害年金を諦めないでください。
精神障害の年金証書を使って手帳を申請できる場合があります
精神障害を理由とする障害年金を現在受給している場合は、年金証書等の写しを用いて精神障害者保健福祉手帳を申請する方法があります。この方法では、原則として年金と同じ等級の手帳が認定されます。
ただし、年金証書を持っているだけで自動的に手帳が交付されるわけではありません。所定の申請と、年金を現在受給していることや障害の種類を確認できる書類などが必要です。がんなど身体の障害による年金証書を、この方法にそのまま使えるという意味でもありません。
一方、精神障害者保健福祉手帳が交付されていても、それだけで障害年金が支給されるわけではありません。年金は、初診日や保険料の納付要件、障害の状態などを別に審査します。必要な書類は市区町村の障害福祉担当窓口で確認しましょう。
診断書を書ける医師は制度によって異なります
障害年金の診断書
障害年金の診断書は、障害の種類に応じて、医師または歯科医師が作成します。身体障害者福祉法第15条の指定医である必要はありません。使用する様式や診断書に記載してもらう時点を、作成の依頼前に年金事務所などで確認してください。
精神の障害用の診断書は、原則として精神保健指定医または精神科を標ぼうする医師が作成します。てんかん、知的障害、発達障害など、他科の主治医が精神・神経障害の診断や治療に従事している場合には、例外的な取扱いがあります。
身体障害者手帳の診断書・意見書
申請する障害の種類について指定を受けた、身体障害者福祉法第15条の指定医が作成します。主治医が指定医かどうかを確認し、該当しない場合は窓口や医療機関に相談してください。
下の図は、千葉県の指定医に関する資料です。指定の基準や手続きは、自治体の最新案内も確認してください。
精神障害者保健福祉手帳の診断書
精神障害の診断や治療に従事する医師が作成します。障害年金用と手帳用の診断書は、同じ書類ではありません。手帳の申請方法と様式を市区町村の窓口で確認したうえで、主治医に相談しましょう。
実務でも、「指定医ではないので障害年金の診断書を書けない」というご相談をいただくことがあります。まずは、年金の診断書なのか、手帳の診断書なのかを区別して、必要な様式を医療機関に伝えることが大切です。
障害者手帳で利用できる支援

また、障害福祉サービスと介護保険で同様の支援を受けられる場合は、原則として介護保険が優先されます。ただし、一律に決まるものではなく、必要な支援を受けられるかなど、個別の状況に応じて判断されます。市区町村の担当窓口に相談してください。
がん患者の支援でよく使われるもの
がん患者が障害者手帳で受けられる主な支援制度
|
支援制度 |
支援内容 |
対象・注意点 |
|---|---|---|
|
所得税・住民税の障害者控除 |
所得税・住民税の負担軽減 |
身体障害者手帳1〜6級が対象。1・2級は特別障害者控除 |
|
重度心身障害者医療費助成 |
がん治療などの保険診療の自己負担額を助成 |
主に重度障害者が対象。等級・所得制限・助成範囲は自治体による |
|
自動車税・軽自動車税の減免 |
自動車にかかる税金の減免 |
障害の種類・等級・車両の使用状況等による |
|
有料道路の割引 |
高速道路等の通行料金を原則50%割引 |
身体障害者本人の運転、または第1種身体障害者の介護者運転等。事前申請が必要 |
|
日常生活用具の給付 |
ストーマ装具・人工喉頭などの購入費用を助成 |
障害の種類・等級・自治体の給付基準による |
|
交通機関の運賃割引 |
JR・私鉄・バス・タクシー・航空運賃等の割引 |
手帳の区分、移動距離、介護者の有無、事業者による |
|
携帯電話料金の割引 |
基本使用料等の割引 |
各携帯電話会社の障害者向け料金制度による |
|
NHK受信料の減免 |
受信料の全額免除または半額免除 |
世帯の住民税課税状況や障害等級等による |
|
公共施設・文化施設の割引 |
美術館・映画館・公営施設等の利用料減免 |
施設ごとに対象・割引率が異なる |
がん患者で身体障害者手帳の対象となり得る障害の例
|
障害の種類 |
がん患者における例 |
|---|---|
|
ぼうこう・直腸機能障害 |
人工肛門(ストーマ)・尿路変向等 |
|
呼吸器機能障害 |
肺がんの手術や治療等による呼吸機能の低下 |
|
音声・言語機能障害 |
喉頭全摘出等による音声機能の喪失 |
|
そしゃく機能障害 |
口腔がん・頭頸部がんの治療等によるそしゃく機能の障害 |
|
肢体不自由 |
骨転移や手術等に伴う上肢・下肢・体幹の機能障害 |
注意点: 身体障害者手帳の対象となるかどうかは、がんの診断名やステージではなく、身体機能の障害の程度と認定基準に基づいて判断されます。
また、支援制度の利用要件は手帳の種類・等級・所得・居住自治体などによって異なります。障害年金と身体障害者手帳は別制度であり、認定基準も異なります。
がん患者の方に伝えたいこと
障害年金と障害者手帳は、別の制度です。手帳の有無だけで年金の対象外と考えたり、手帳を取得すれば年金も自動的に受給できると考えたりしないようにしましょう。
がんや治療の影響によって、生活や仕事に支障があるときは、それぞれの制度を確認することが大切です。医療機関に診断書を依頼する際も、制度ごとの様式と、作成できる医師の要件を確認してください。
一人でも多くのがん患者さんが、必要な支援につながれるように、患者さんだけでなく、医療従事者の方にも制度の違いを知っていただきたいと思います。
参考資料
- 日本年金機構:障害年金
- 日本年金機構:年金はいつ支払われますか
- 日本年金機構:障害年金の診断書を作成する医師の方へ
- 日本年金機構:精神の障害用の診断書を提出するとき
- 厚生労働省:障害者手帳について
- 厚生労働省:年金証書等の写しによる精神障害者保健福祉手帳の障害等級の認定事務について
- 厚生労働省:自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について
制度の取扱いや必要書類は変更されることがあります。最新情報は公式資料と各制度の窓口でご確認ください。
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