がんの障害年金・請求方法とタイミング
公開日:
障害年金請求の種類
認定日請求・事後重症請求の違い
いつの障害状態で請求し、いつの分から受け取れるのか。
がん患者さんに多い事後重症請求と、早めに準備しておきたいことを説明します。
障害年金の請求には、いくつかの種類があります。「認定日請求」「事後重症請求」、それに「審査請求」「再審査請求」。似たような言葉が並ぶので、最初はわかりにくいと思います。
まずは、障害年金を受けるための請求と、決定に納得できないときの不服申立てを分けて考えましょう。そのうえで、いつの障害状態について請求するのかを確認します。
障害年金請求の種類を整理すると
はじめて障害年金を受けるための請求を「裁定請求」といいます。そのなかの主な方法が、認定日請求と事後重症請求です。
| 種類 | どのような手続きか |
|---|---|
| 裁定請求 | 障害年金を受けるために、受給要件や障害状態などを審査してもらう手続き。認定日請求・事後重症請求があります。 |
| 審査請求 | 不支給や決定された障害等級などに納得できないときに、社会保険審査官へ行う不服申立て。 |
| 再審査請求 | 社会保険審査官の決定にも納得できないときに、社会保険審査会へ行う不服申立て。 |
認定日請求で不支給となったら、審査請求へ進むことができます。不支給の理由や診断書の内容、病状などを総合的に判断し、どうすべきかを考えましょう。
障害年金は、いつから請求できる?
基本となるのが「初診日」と「障害認定日」です。初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日です。
ただし、1年6か月以内に症状が固定した場合など、障害認定日には例外もあります。がんの場合でも、人工肛門の造設などで特例に該当することがあります。詳しくは「障害認定日とは?」をご覧ください。
その障害認定日の状態で請求するのが「認定日請求」。障害認定日には障害状態に該当せず、その後に症状が重くなってから請求するのが「事後重症請求」です。
なお、障害状態だけで受給が決まるわけではありません。初診日の確認・証明や、初診日の前日時点での保険料納付要件なども確認します。ここでは主な2つの請求方法を説明します。
認定日請求と事後重症請求の違い
| 比べるところ | 認定日請求 | 事後重症請求 |
|---|---|---|
| 確認する障害状態 | 障害認定日の状態が、法令に定める障害の程度に該当しているか。 | 障害認定日には該当せず、その後、障害の程度が重くなって該当したか。 |
| 支給開始月 | 認められた場合は、障害認定日の翌月分から。 | 認められた場合は、請求日の翌月分から。 |
| 過去の分の支給 | 遅れて請求した場合も遡って受給できる。ただし、時効により原則5年分が限度。 | 症状が重くなった時点まで遡って受け取ることはできない。 |
| 主な診断書 | 障害認定日時点の状態を示すもの。認定日から1年以上経過して請求するときは、原則として現在の状態を示すものも必要。 | 請求前の現在の状態を示すもの。 |
| 気をつけたいこと | 障害認定日の状態を診断書に記載してもらう。「障害認定日が5年以内でないと請求できない」という意味ではない。 | 請求書の提出は、原則として65歳の誕生日の前々日まで。請求が遅れると支給開始も遅くなる。 |
認定日請求:当時の障害状態で請求する
障害認定日の時点で基準に該当していた場合は、認定日請求を検討します。制度を知らなかったなどの理由で、障害認定日から時間が経っていても、請求できる場合があります。遡って請求することを「遡及請求」と呼んでいます。
例えば、2025年4月が障害認定日の方が、2026年10月に請求し、当時の障害状態が認められた場合は、2025年5月分からが支給の対象になります。過去の分は、決定後にまとめて振り込まれます。
ただし、遡及できる年金は、時効により原則5年分までです。請求できる時期と、過去の何年分を受け取れるかは、別の話です。詳しくは「障害認定日遡及請求について詳しく解説」をご覧ください。
事後重症請求:請求した翌月分から支給される
障害認定日には症状が軽く、障害状態に該当しなかったとしても、その後の悪化で該当した場合には、事後重症による請求ができます。
例えば、2026年8月に症状が重くなり、2026年10月に請求した場合、認められれば支給の対象は11月分からです。8月まで遡って支給されるわけではありません。
事後重症請求では、「いつから症状が重かったか」だけでなく、「いつ請求したか」が支給開始月に関わります。書類の準備が遅れて請求月が翌月になれば、受け取り始める月も1か月遅くなるので、なるべく早く請求したほうが請求者にメリットがあります。65歳の誕生日が近い方も早急に手続きしましょう。老齢年金を繰上げ受給している方などは、65歳に達したとみなされ、障害年金の事後重症請求はできません。
認定日請求と事後重症請求をあわせて検討する
認定日時点と現在の診断書を提出して遡及請求する際には、認定日では認められなかった場合に、事後重症での審査を希望するかを確認する記載欄が障害年金の請求書にはあります。
認定日請求が認められない場合に備え、現在の状態で事後重症による審査も希望するかを、請求時に確認しておきましょう。
がんの障害年金は、事後重症請求を検討することも多い
僕ががん患者さんの請求をサポートするなかでは、事後重症請求を検討するケースも多くあります。
病状や治療の影響は、時間とともに変わる
治療の進歩により、ステージ4でもQOLを保ちながら生活を続けている方がいます。一方で、再発・転移や治療の副作用により、後から生活に大きな支障が出ることもあります。障害認定日の時点では基準に該当しなくても、現在の状態で請求できる場合があります。
僕がサポートするがん患者さんでは、その後に症状が重くなり、事後重症請求をする方も多いと感じています。「障害認定日のころは元気だったから、障害年金はもらえない」と思い込む必要はありません。今の状態で請求できる可能性があります。診断名やステージだけでなく、日常生活の制限や治療の影響を確認することが大事です。がんの障害年金の認定基準も参考にしてください。
審査請求・再審査請求は、決定に対する不服申立て

裁定請求の結果が不支給だった、あるいは障害等級に納得がいかない。そうしたときは、審査請求や再審査請求という方法があります。
審査請求は、各地方厚生局などの社会保険審査官が審査します。その決定にも不服がある場合は、厚生労働省の社会保険審査会へ再審査請求ができます。審査官は独任制、審査会は合議制という違いがあります。
審査請求は、原則として処分があったことを知った日の翌日から3か月以内です。再審査請求にも期限がありますので、決定通知を受け取ったら、そのままにしないことが大切です。手続きの流れや期限は「障害年金の不服申立て|審査請求・再審査請求の流れと期限」で説明しています。
統計の数字だけでは、個別の見通しは決まらない
厚生労働省の公表表で確認できる令和7年度の社会保険審査会の処理状況は、処理計1,385件のうち容認75件でした。ほかに、原処分の変更により取り下げられたものが36件あります。
これは社会保険審査会全体の集計です。がんの障害年金だけの数字ではなく、この数字をそのままご自身の受給の確率として考えることはできません。詳しくは、社会保険審査会の年度別統計をご覧ください。
不服申立てのほかに、現在の障害状態で再び裁定請求をする「再請求」を検討することもあります。どちらが適切かは、不支給になった理由、病状の変化、追加できる資料などによって変わります。
さらに裁判で争う方法もあり、審査請求後、再審査請求を経ずに訴訟へ進むことができる場合もあります。裁判を検討するときは、出訴期間も含めて弁護士に確認する必要があります。
僕が大事にしているのは、最初の裁定請求に全力を投じることです。審査請求や再審査請求があるから、最初の書類は不十分でもいい、というものではありません。病状や生活の状態を正確に伝える書類をそろえることが、受給への一番の近道だと考えています。
事後重症請求は、早めの準備が大切です
事後重症請求では、請求が遅れると、受け取り始める月も遅くなります。とはいえ、実際に体調を崩してから、初診日の病院を調べ、診断書を依頼し、申立書を作るのは大変です。
初診日や年金の加入記録、これまでの通院・治療の経過など、先に確認できることはあります。病状が変わったとき、すぐに動けるようにしておくことが大切だと思います。
診断書には、ご自身の症状や治療の副作用、家事や身の回りのことで困っていることを、しっかり反映してもらいましょう。普段できていないことを、診察室で無理に元気に見せる必要はありません。
準備段階での無料相談も使ってください。いつ、どの方法で請求するのかを整理しておくことで、手続きを進めやすくなります。
まとめ
障害年金の主な請求方法は、障害認定日の状態で請求する認定日請求と、その後の悪化で請求する事後重症請求です。審査請求・再審査請求は、決定に納得がいかないときの不服申立てです。
がんの場合、障害認定日には障害状態に該当しなくても、その後に事後重症請求になることも多いです。特に事後重症請求では、請求が遅れると、受け取り始める月も遅くなります。今は該当しないかもしれないと思っていても、準備できることから進めていきましょう。
参考資料
制度・統計情報の確認日:2026年10月28日。
障害年金の無料相談
ご自身の場合に障害年金を請求できるか、まずは無料相談でご相談ください。初回は約1時間、完全予約制です。
予約のない電話相談は行っておりません。フォームの記入方法など、ご不明な点はメールでお問い合わせください。
syaroshi@cancerwork-lifebalance.com
事前にご予約いただいた無料相談は、受付時間外にも実施しています。平日は20時開始まで対応しています。
