がんの障害年金・初診日の確認と証明
公開日:
障害年金の初診日がわからないときは?がんの初診日と証明方法
がんの初診日と、その証明方法について説明します。
カルテがない場合や、受診した日付を思い出せない場合も、手がかりを順番に探していきましょう。
障害年金の請求で、初めに確認しておきたいのが「初診日」です。いつ、どの病院で診てもらったのか。簡単そうですが、何年も前のことになると、証明するのが難しい場合があります。
初診日の病院にカルテがないからといって、それだけで諦める必要はありません。ほかの医療機関に残る記録や、当時の受診がわかる資料など、確認していく方法があります。
障害年金の初診日とは
初診日は、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日です。がんと確定診断された日や、がん専門病院に初めて行った日とは限りません。
障害年金は初診日がわかってないと基本的には請求できません。そのため、初診日の確認は、障害年金を請求するうえで欠かせません。
| 確認すること | 初診日が関わるところ |
|---|---|
| 加入していた年金制度 | 初診日に国民年金・厚生年金など、どの制度の対象だったかで、請求する障害年金が変わります。 |
| 保険料納付要件 | 初診日の前日時点で、初診日の属する月の前々月までの保険料納付状況などを確認します。20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合など、取り扱いが異なるケースもあります。 |
| 障害認定日 | 原則として初診日から1年6カ月を経過した日が基準になります。1年6カ月以内に症状が固定した場合などには例外があります。 |
受給できるかどうかだけでなく、対象となる等級や年金額にも影響するので、最初にきちんと確認しなければなりません。請求の基本は、がんで障害年金をもらうための3つの要件もご覧ください。
転院や、病名が変わっているとき
同じ病気で転院している場合は、転院先ではなく、最初に診療を受けた日が初診日となります。当時は別の病名であっても、後から同じ病気による症状だったと確認される場合も同様です。
前の病気と相当因果関係がある場合や、社会的治癒を検討する場合などは、治療の経過を含めて確認する必要があります。社会的治癒については、「社会的治癒について障害年金と傷病手当金の違い」で説明しています。
がんの初診日は、確定診断の日とは限らない
がんが見つかるきっかけはいろいろあります。がんとは関係なさそうに思える診療科での受診が、初診日になることもあります。
| きっかけ | 確認したい受診 |
|---|---|
| せき、血便、痛みなどの症状 | その症状ががんに関係すると確認される場合は、その症状で最初に医師の診療を受けた日を確認します。 |
| しこりなどに自分で気づいた | 気づいた日そのものではなく、それを理由に初めて医師の診療を受けた日を確認します。 |
| 健康診断で異常を指摘された | 原則として、健診日ではなく、その後に医療機関で医師の診察を受けた日を確認します。ただし、健診時に診療や療養の指示があった場合などは、その内容を確認します。 |
| 別の病気の診察・検査で見つかった | 以前の症状とがんの関係、異常を指摘された日、診療や療養の指示の内容を、診療録などで確認します。 |
腰の痛みで整形外科を受診した例
例えば、腰が痛くて近所の整形外科を受診し、湿布を処方されていたとします。その後、大学病院で検査を受け、腰椎の病変が肺がんからの骨転移だったとわかった場合です。
最初の腰の痛みが骨転移によるものだったと確認されれば、近所の整形外科を最初に受診した日が初診日となります。肺がんと診断された日だけを見るのではなく、そこまでの受診の経過を整理しましょう。
なお、整骨院・接骨院や鍼灸院で施術を受けた日は、それだけでは障害年金の初診日にはなりません。医師または歯科医師の診療を受けた日を確認します。
健康診断の日を初診日とする例外
初めて治療目的で受診した日の受診状況等証明書が得られず、医学的にただちに治療が必要と認められる健診結果である場合には、本人の申立てと健診結果などの資料により、健診日を初診日と認められる取り扱いがあります。「要再検査だったから、必ず健診日が初診日」ということではありません。
初診日は、受診状況等証明書などで確認
通常は、初診の医療機関に受診状況等証明書を作成してもらいます。初診日や当時の症状、診療の経過などを、カルテ等の記録をもとに証明してもらう書類です。
記憶をもとに日付を書いてもらうだけで、証明できるわけではありません。医療機関のカルテに基づくものでなければなりません。
受診状況等証明書を別に用意しなくてよい場合
初診時と診断書を作成する医療機関が同じで、診断書から初診日を確認できる場合などは、受診状況等証明書を別に用意する必要がないことがあります。
「初診日の証明がいらない」のではなく、診断書などで確認できるという意味です。病院名や診療科が同じかどうかだけで判断せず、初診時の記録が残っているか、診断書に記載できるかを確認する必要があります。
カルテは、5年経ったら必ずなくなるの?
診療録(カルテ)には法律上の保存義務があり、保険診療のカルテは診療が完結した日から5年間の保存が義務となっています。ただ、5年経てば必ず破棄されるというわけではありません。長く保存している医療機関もあります。
「もう何年も前だから無理だろう」と決めず、まずは問い合わせてみましょう。その医療機関で最後に診てもらってから5年経っていなければカルテが残っています。
治療が長く続く方や、再発後に障害年金を検討する方もいます。国立がん研究センターが公表する最新の全国がん登録では、2018年診断例の全がんの5年相対生存率は64.8%です。これは集団の統計であり、個人の経過や障害年金の受給可否を示す数字ではありませんが、がんでも長期生存できる時代になってきたので、障害年金を請求しようと思ったときに、初診日が5年以上前になるケースも多くなってきました。
初診日のカルテがないときは、順番に手がかりを探す
病院が廃院していたり、カルテが破棄されていたりする場合は、別の資料から確認する方法を検討します。初診の病院で受診状況等証明書を取れなかった理由を、受診状況等証明書が添付できない申立書(PDF)に記載し、初診日を裏付ける資料とあわせて提出します。
2番目、3番目の医療機関に記録がないか
初診の病院に記録がなくても、次に受診した医療機関に、紹介状や初診時の問診記録が残っていることがあります。受診した順に確認し、受診状況等証明書などを作成してもらえるか相談しましょう。
ただし、2番目の病院の受診日を、そのまま初診日に置き換えることはできません。以前の受診について何が記録されているのか、ほかの資料と矛盾がないか等の手掛かりを探すことになります。
| 資料の例 | 確認したいところ |
|---|---|
| 紹介状・診療情報提供書・退院時の記録 | 前の医療機関名、受診した時期、症状や診療の経過。紹介状等に初診日が記載してあれば、その日付を初診日として請求できます。 |
| 診察券・領収書・お薬手帳 | 本人の氏名、日付、医療機関名、診療科や薬の情報。受診した病気との関係も確認します。 |
| 健康診断・人間ドックの結果 | 検査日、異常所見、再検査や療養についての指示。 |
| 障害者手帳や保険給付の申請時の診断書 | 傷病名、発病・初診の記載、診断書を作成した時期や記載の根拠。 |
| 健康保険の給付記録・レセプトなど | 当時の受診が記録されているか。保存期間や開示の方法は、加入していた保険者等に確認します。 |
| 第三者証明 | 当時の受診を見たり聞いたりして知っていた人の申立て。詳しくは次の章で説明します。 |
すべての資料を一律にそろえるという意味ではありません。手元にあるもの、取り寄せられそうなものを確認し、事実を一つずつ積み上げていきます。資料があれば必ず認められるというものではなく、医学的に初診日を説明するに足りる資料であるかが大事になります。
第三者証明を使える場合もある
初診日の医療機関の証明が得られないときは、当時の受診状況を知る人による初診日に関する第三者からの申立書を検討します。請求のために最近聞いた話を書いてもらうのではなく、その人が当時から知っていた内容を記載してもらうことが大切です。
| 確認すること | 基本的な取り扱い |
|---|---|
| 証明する人 | 当時の受診状況を直接見た人、当時に本人や家族から聞いていた人などに、当時のことを記載してもらいます。家族や親戚に証明をお願いする場合も、三親等内の親族は対象になりません。 |
| 20歳以降の初診日を証明するには | 日本年金機構の案内では、第三者証明2通と参考資料を用意する方法などが示されています。 |
| 医療従事者の証明 | 初診日頃に受診した医療機関の担当医師・看護師等が、直接見ていた受診状況を証明する場合は、1通で認められるケースが多いです。医療従事者なら誰でもよい、ということではありません。 |
| 20歳前の初診日 | 20歳前の未加入期間に初診日がある障害基礎年金では、第三者証明のみで確認できる場合など、別の取り扱いがあります。20歳前でも厚生年金加入中の初診日は区別が必要です。 |
第三者証明と、ほかの資料の内容を合わせて判断されます。誰に、どのような内容を証明してもらえるか、先に整理しておきましょう。
日付が特定できなくても、一定期間で確認する方法があります
初診日がピンポイントでわからなくても、諦めるのはまだ早いです。資料から「この期間内に初診日がある」と確認できれば、一定の条件のもとで、本人が申し立てた初診日を認められる場合があります。
例えば、初診日があると確認された期間のすべてが厚生年金の加入期間で、その期間中のどの日でも保険料納付要件を満たす場合などです。「その頃は会社員だった」という記憶だけで認められるわけではなく、期間の始めと終わりを裏付ける資料と、年金加入・納付記録の確認が必要です。
肺がんで、初診の病院が廃院していた場合
入社後に受けた健診では異常がなく、その後、在職中にA病院を受診して肺がんが見つかり、退職前にB病院へ転院したケースです。A病院は廃院していても、健診結果やB病院の診療録などから、初診日が含まれる期間を確認できるかを検討します。
ただし、健診で異常がなかったという事実だけで、期間の始まりを必ず決められるわけではありません。病気の経過を医学的に確認できるかも大事です。期間中に国民年金と厚生年金が混在する場合などは、追加の資料や別の条件の確認が必要になります。
初診日がわからないとき、相談前に整理したいこと
病院に問い合わせた結果と、受診の経過をメモにしておくと、次に何を探すかがわかりやすくなります。
- 最初の症状と、おおよその時期。
- 受診した医療機関・診療科を、古い順に並べたもの。
- 転院した理由や、紹介状を受け取った記憶。
- 病院に確認した日、記録の有無、証明書を作成できない理由。
- 当時の勤務先、年金の加入状況、手元に残っている書類。
窓口で「初診日の証明が難しい」と言われた場合も、何が不足しているのか、代わりに確認できる資料がないかを具体的に相談しましょう。初診日として認めるかどうかは、提出した資料をもとに審査されます。難しいからといって、最初から可能性がないと決めつけないことが大事だと僕は思います。
まとめ
初診日は、障害年金を受け取れるかどうかや、どの年金を請求するかに関わる大事な日です。がんと診断された日だけでなく、その前に同じ症状で受診していなかったかも確認しましょう。
初診の病院が廃院していたり、カルテがなくなっていたりすると、証明が難しくなることがあります。ただ、2番目以降の医療機関や、当時の書類から手がかりが見つかることもあります。
難しいから諦めるのではなく、可能性を一つ一つ探っていくことが大事です。ご自身で整理するのが難しいときは、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談することも、選択肢に入れてもいいのかなぁと僕は思います。
参考資料
- 日本年金機構:障害認定基準 第1 一般的事項(PDF)
- 日本年金機構:受診状況等証明書・添付できない申立書
- 日本年金機構:初診日に関する第三者からの申立書
- 日本年金機構:初診日証明書類のご案内(PDF)
- 厚生労働省:初診日を明らかにする書類を添えられない場合の取扱い
- 厚生労働省:上記取扱いの改正通知
- 厚生労働省:保存期間に関連する法令等(PDF)
- 国立がん研究センター:全がんの統計
制度・統計情報の確認日:2026年10月27日。
障害年金の無料相談
ご自身の場合に障害年金を請求できるか、まずは無料相談でご相談ください。初回は約1時間、完全予約制です。
予約のない電話相談は行っておりません。フォームの記入方法など、ご不明な点はメールでお問い合わせください。
syaroshi@cancerwork-lifebalance.com
事前にご予約いただいた無料相談は、受付時間外にも実施しています。平日は20時開始まで対応しています。
