障害年金の最新統計・令和7年度決定分
がんの受給は難しい?
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日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」から、新規裁定・更新の結果を表で解説します。
がんを含む「血液・造血器・その他」診断書の支給状況を、統計の意味と注意点も含めて整理しました。
障害年金業務統計(令和7年度決定分)について
日本年金機構が令和8年9月に公表した「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」をもとに、障害年金の新規裁定・再認定の結果と、診断書種類別の支給状況を見ていきます。
「血液・造血器・その他」の数字は、がんだけの統計ではありません。がん以外の血液疾患なども含まれます。また、がんの局所の障害では別の種類の診断書を使うこともあるため、この統計だけでがん患者全体の支給決定率や受給者数を求めることはできません。
「支給件数の構成比」と「決定数に対する支給・非該当の割合」は意味が異なります。この記事では、両者を分けて説明します。
新規裁定における決定区分
新規裁定とは、新たに障害年金を請求したときの決定です。障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級・2級・3級・障害手当金が対象となります。
| 決定区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 1級 | 16,216件 | 11.3% |
| 2級 | 84,391件 | 58.6% |
| 3級(障害厚生年金のみ) | 27,902件 | 19.4% |
| 障害手当金(障害厚生年金のみ) | 387件 | 0.3% |
| 非該当 | 15,211件 | 10.6% |
| 合計 | 144,107件 | 100.0% |
1級・2級・3級のいずれかに該当した件数は128,509件で、全体の約89.2%です(件数から計算)。障害手当金は、年金とは別の一時金なので区別して見ます。
| 年金制度 | 決定件数 | 非該当件数 | 非該当割合 |
|---|---|---|---|
| 障害基礎年金 | 88,052件 | 11,568件 | 13.1% |
| 障害厚生年金 | 56,055件 | 3,643件 | 6.5% |
| 合計 | 144,107件 | 15,211件 | 10.6% |
出典:日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」2ページ。割合は資料掲載値です。
資料では、支給要件に該当しない場合を「非該当」としています。上の決定件数とは別に、書類等の不備で障害等級を判定できない場合などの「却下」が障害基礎704件、障害厚生686件あります。
再認定(更新)における決定区分
再認定とは、診断書提出年月に提出された診断書(障害状態確認届)をもとに障害の状態をあらためて確認することです。永久認定の場合を除き、更新期間は1〜5年の間で設定されます。
| 決定区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 継続 | 200,818件 | 96.5% |
| 増額 | 3,304件 | 1.6% |
| 減額 | 1,871件 | 0.9% |
| 支給停止 | 2,184件 | 1.0% |
| 合計 | 208,177件 | 100.0% |
出典:日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」2ページ。割合は資料掲載値です。
全体では継続が96.5%を占めています。ただし、これはすべての診断書種類を合わせた結果です。がんの受給者だけの更新結果を示すものではありません。
更新のある方は、一度受給が決まったからといって必ず継続するわけではありません。治療の経過や副作用、日常生活・就労の状況を、更新時にも具体的に医師へ伝え、診断書に反映されることが大切です。
診断書種類別の支給件数と構成比
がんによる全身の衰弱や機能の障害を伝える際には、主に「血液・造血器・その他」の診断書を使います。令和7年度の新規裁定で、この種類の診断書により支給とされた件数は4,319件、構成比は3.3%でした。
| 診断書種類 | 支給件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 精神障害・知的障害 | 89,725件 | 67.7% |
| 呼吸器疾患 | 674件 | 0.5% |
| 循環器疾患 | 3,924件 | 3.0% |
| 腎疾患・肝疾患・糖尿病 | 6,596件 | 5.0% |
| 血液・造血器・その他 | 4,319件 | 3.3% |
| 眼 | 2,773件 | 2.1% |
| 聴覚等 | 2,850件 | 2.1% |
| 肢体 | 21,707件 | 16.4% |
| 合計 | 132,568件 | 100.0% |
出典:日本年金機構「障害年金業務統計(令和7年度決定分)」3ページ。割合は資料掲載値です。
「聴覚等」は、聴覚・鼻腔機能・平衡機能、そしゃく・嚥下機能、音声又は言語機能を指します。1人が複数枚の診断書を使う場合は診断書ごとに計上されるため、支給件数の合計は、前の表の実際の決定件数とは一致しません。端数処理により構成比の合計が100%にならないことがあります。
「血液・造血器・その他」の診断書で支給が決定したのは全体の3.3%です。精神・知的障害の割合が67.7%であり、障害年金制度において、精神・知的障害の診断書での支給が突出していることがわかります。がんという病気は日本人の死因1位であり、命を落とす人が多いにもかかわらず、この数値は低いと思います。
障害を大きく分けると内部障害、外部障害、精神・知的障害に分けることができます。実際にこの障害年金業務統計においてもそのように分けています。内部障害には「呼吸器疾患」「循環器疾患」「腎疾患・肝疾患・糖尿病」「血液・造血器・その他」が含まれます。内部障害全体の支給件数は15,513件、構成比は11.7%です。精神障害・知的障害の67.7%、外部障害全体の20.6%に比べ、小さい割合となっています。
診断書種類別に見る新規裁定の審査結果
次に、診断書の種類ごとの決定数を分母として、支給と非該当の割合を見ていきます。下の図は、8種類の診断書について支給となった割合を比べたものです。
青:障害基礎年金は、国民年金加入中などに初診日がある場合が対象で、障害等級は1級・2級です。
オレンジ:障害厚生年金は、厚生年金加入中に初診日がある場合が対象で、障害等級は1級・2級・3級です。この統計の支給割合には、障害手当金も含まれています。
対象となる等級や請求者の構成が違うため、割合の差だけで「どちらが受給しやすい」とは判断できません。制度の違いは障害基礎年金と障害厚生年金の違いもご覧ください。
「血液・造血器・その他」の診断書での支給決定割合は、障害基礎年金では41.1%、障害厚生年金では81.8%です。同じ診断書でも3級があるかないによりかなりの差があります。

「血液・造血器・その他」の非該当割合は、障害基礎年金では58.9%、障害厚生年金では18.2%となっています。障害基礎年金では、半数を超える診断書が非該当となっている点が目を引きます。
一方、障害厚生年金には3級があり、下図をみていただければ、支給の内訳でも3級が多くなっていることがわかります。このことから、がんで2級が認められることがいかに難しいことがデータからわかります。
「血液・造血器・その他」からがんの障害年金を考える
| 決定区分 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
|---|---|---|
| 1級 | 108件(5.9%) | 151件(3.5%) |
| 2級 | 645件(35.2%) | 629件(14.4%) |
| 3級 | 対象なし | 2,785件(63.9%) |
| 障害手当金 | 対象なし | 1件(0.0%) |
| 支給計 | 753件(41.1%) | 3,566件(81.8%) |
| 非該当 | 1,081件(58.9%) | 794件(18.2%) |
| 決定数 | 1,834件(100.0%) | 4,360件(100.0%) |
出典:同統計4・5ページ。括弧内は、それぞれの制度の決定数に対する割合です。障害手当金は1件ありますが、小数第1位までの表示では0.0%となっています。
両制度を合わせると、支給決定数が6,194件、非該当数が1,875件です。件数から計算した非該当割合は約30.3%になります。ただし、これはあくまで「血液・造血器・その他」の診断書を合わせた数字で、がんだけの数字ではないことは付け加えておきます。
全体の新規裁定では非該当が10.6%ですが、それに比べ「血液・造血器・その他では30.3%です。診断書単位の集計にはなりますが、かなりの差があります。
この統計には、がんとがん以外の傷病の内訳は掲載されていません。そのため、がんだけの件数や支給決定率を、この数字から決定することはできませんが、「血液・造血器・その他」の診断書の傷病において血液がんも含めるとがんでの請求は1番多いのではないかと推察します。
厳しいが認められない訳ではない
この結果だけで、ご自身が障害年金を受給できるかどうかが決まるわけではありません。がんでは、病名やステージだけでなく、がんそのものによる症状、治療の副作用、日常生活や仕事への影響を総合的に確認します。
診断書や病歴・就労状況等申立書を準備するときには、食事・着替え・入浴・外出・家事・勤務など日常生活や就労で困っていることを具体的に整理し、診断書の記載内容とも食い違いがないようにすることが大切です。実際に当事務所にご依頼いただいた患者さんは多くが認められています。ただし2級が認められるためには、追加での医師照会がほとんどのケースであります。ここまで医師照会が多いのであれば、がんでの請求には医師照会の用紙を初めから添付したいぐらいです。
詳しくは、がんでの障害年金の認定基準をわかりやすく解説した記事をご覧ください。
まとめ
令和7年度の統計では、「血液・造血器・その他」の支給件数の構成比は3.3%でした。一方、決定数に対する非該当割合は、障害基礎年金で58.9%、障害厚生年金で18.2%です。がん以外の傷病も含まれますが、非常に厳しい数字だと思います。
統計からがんだけの支給決定率を知ることはできませんが、実際の障害状態を正確に書類で伝えることの大切さは変わりません。数字を見て諦めるのではなく、ご自身の病状と生活・就労の状況を整理して、受給要件を確認してほしいと思います。
私は肺がんステージ4で、障害年金2級を受給していたことがあります。使えるお金があれば、自分がやりたいことをできるかもしれませんし、患者さんのQOLにもつながるはずです。障害状態にあるがん患者さんが必要なときに請求し、障害年金を受給できる社会になる手助けができればと思います。
参考資料
統計情報確認日:2026年10月22日。対象は令和7年度決定分で、公表は令和8年9月です。
- 日本年金機構:障害年金業務統計(令和7年度決定分)PDF(用語の解説1ページ、決定区分別件数2ページ、診断書種類別支給件数3ページ、新規裁定・障害基礎4ページ、新規裁定・障害厚生5ページ)
本文の表は同資料をもとに当事務所で作成。約89.2%・約30.3%は掲載件数から計算し、小数第2位を四捨五入した値です。その他の割合は資料掲載値です。
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