来年の3月(予定)からマイナンバーカードの健康保険証利用が開始されます。もうすぐですが、あまり知られていない情報です。マイナンバーカードについて賛否はいろいろあると思いますが、今日は健康保険証としてマイナンバーカードを利用するとどんなメリットがあるのかを今(2021年1月)の段階でわかっていることをお話しします。

マイナンバーカードの現状

マイナンバーカードは平成28年度1月から、申請された方に交付されています。現在、マイナンバーカードは約2900万枚が発行され、国民の約2割強が取得しています。国は令和4年度末までには全国民がマイナンバーカードを取得することを目指していますが、まだ取得が進んでいないのが現状です。

そのため、国はマイナンバーカードとキャッシュレス決済の普及を図るため、マイナンバーカード作ってキャッシュレス決済(電子マネーやクレジットカードなど)と紐付けて、チャージやキャッシュレス購入をすると25%分(上限5,000円分のポイント)のポイントがもらえる、マイナポイントの施策を導入しています(詳しくは総務省HP)。

マイナンバーカードの健康保険証利用

令和3年3月からは、マイナポータルで登録することによりマイナンバーカードを健康保険証として利用することができます。マイナポータルとは子育てや介護をはじめとする行政手続きの検索をオンライン申請でワンストップでできたり、行政からのお知らせを受け取ることができる自分専用サイトです。マイナポータルで出来ることの詳細は内閣府HPをご参照ください。

医療機関等の準備が整い次第ですが令和3年3月から、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになります。医療機関等に設置されたカードリーダーにマイナンバーをかざすことにより、保険証確認を即時にすることができるようになります。カードリーダー付き自動受付機等が必要になりそうです。調剤薬局等でも同じくカードリーダーが順次導入されていくと思います。

もちろん、いままでどうり健康保険証は保険者から発行され、そちらを使用することもできます。ただ、就職や転職、引っ越し、国保の年度更新などの際にも、マイナンバーカードを保険証として利用すれば切り替え時に保険証がない、ということもなくなります。

また、がんなどで長期療養が必要な場合だと、高額療養費制度を利用する方が多いと思います。そこでマイナンバーカードを保険証利用すると、限度額適用認定証を発行していなくても、高額療養費制度における限度額以上の支払いが免除されます。限度額適用認定証って毎回申請するのけっこう面倒なので助かりますね。

令和3年10月(予定)からは自身の薬剤情報確認がマイナポータルから確認できるようになり、医療機関等で薬剤情報が医師等と共有できるようになります。お薬手帳がいらなくなりますね。お薬手帳はシールを貼り忘れたりしてしまうことがあるので、電子で共有できると便利です。

同じく令和3年10月(予定)から、マイナポータルで医療費情報が確認でき、令和3年分の確定申告から、所得税の医療費控除がマイナポータルを使い自動入力できるようになります。がん患者の場合は医療費の自己負担が10万円を超え、確定申告時に医療費控除を利用する方も多いと思います。この作業、けっこう、面倒なんですよね。実際にどういう形で確定申告とマイナポータルが連携するのか詳細は発表されていないのでわかりませんが、自動入力してくれるとありがたいです。
医療費控除について詳しくは国税庁HPを参照ください。

まとめ(小括)

セキュリティー面の不安等から、マイナンバーカードを取得されていない方も多いと思います。マイナンバーカードを持つことのデメリットを強調する声もあります。あとは個々人の判断になると思いますが、一応知識として、マイナンバーカードを健康保険証利用すると上記のようなメリットがあるというのは知っておいたほうがいいと思います。

しかし、まだまだ詳細が発表されていないと思いますの、実際の運用がどうなっていくのかもチェックが必要ですね。

傷病手当金の期間の計算が変わります(令和4年1月より)

健康保険の傷病手当金の支給期間が支給開始日から1年6ヶ月でしたが、通算1年6ヶ月に改正される方向で調整されることになりそうです。詳細は第135回社会保障審議会医療保険部会資料をご覧ください。
傷病手当金について詳しくはこちら

現状は下図の期間です。
サラリーマンが加入する協会けんぽや健康保険組合は、支給開始から1年6ヵ月が傷病手当金の支給期間となっています。そのため、途中で職場復帰して傷病手当金を支給されていない期間があっても、支給されていない期間を通算して1年6ヵ月間、傷病手当金が支給されます。

公務員が加入する共済組合における傷病手当金の期間は、支給されている期間のみを通算して1年6ヵ月間が支給期間となっています。

現行の規定が変更される時期はまだ決まっていませんが、サラリーマンの傷病手当金の支給期間も共済組合と同じく支給通算期間1年6ヵ月となる予定です。

この改正により、がん患者がより治療と仕事の両立が出来るようなると期待されてます。

まとめ

マイナンバーカードの保険証利用は令和3年3月から始まる予定です。10月からはマイナンバーカードで薬剤情報や医療費情報も管理できるようになる予定です。

傷病手当金の期間通算については、令和2年11月26日の社会保障審議会医療保険部会で方針が示されたばかりなので、具体的な日程などは不確定なことも多いですが、治療と仕事の両立を支える国の施策のひとつとして実施されることになりそうです。詳細がわかりましたらまたお伝えします。