医療保険制度は年齢により自己負担割合が決まっています。しかし、がんを治療するにあたり、高額な治療費がかかった場合、自己負担割合(一般は3割)の金額でも支払いが高額になります。1月に100万円の医療費がかかった場合は、3割負担でも自己負担が30万円になります。そこで、医療費が高額になった場合、自己負担額に上限を設けることにより、窓口で支払った自己負担上限額を超えた額を、保険者より患者さんに払い戻す高額療養費制度があります。
また、事前に限度額適用認定証を保険者に申請することにより、病院での窓口負担を一定額までに抑えることができます。

高額療養費制度

高額療養費制度とは、同一月にかかった医療費の自己負担額が高額になったとき、自己負担限度額を超えた分が、あとで保険者より払い戻される制度です。
所得や年齢により高額療養費制度で患者に払い戻される金額は変わってきます。しかし、加入している医療制度(国民健康保険や健康保険組合)により高額療養費で患者に払い戻される金額が変わることはありません。
国民健康保険の被保険者でも所得と年齢が同じであれば、全国健康保険協会の被保険者と払い戻される金額は同じで、共通の計算方式で自己負担限度額が決定します。気をつけるところは所得と年齢です。年齢に関していえば、70歳未満と70歳〜75歳未満、75歳以上では自己負担額限度額が異なります。
自身がどの所得区分に該当し、医療費が高額になったときに、どのくらいの自己負担が必要かを確認しておくといいと思います。
その一方で、高額療養費の計算方法は覚える必要はないと思います。その理由は後述します。
高額療養費の所得区分表に関してはわかりやすいサイトがあるので紹介します。

高額療養費制度(外部リンク:全国健康保険協会)

世帯合算の計算はかなりややこしいですが、アストラゼネカのがん患者向けサイト「がんになっても」での『世帯・同一人合算が知りたい』はわかりやいです。

医療保険制度による高額療養費の申請

しかし、実際問題として、このややこしい高額療養費の計算を、患者さんご自身で仕組を理解して、計算し、申請することは難しいです。特に70歳以上のかたを被扶養者としている場合、難易度は高いです。
社会保険労務士試験でも毎年のように高額療養費の計算が出題されますが、正答率は低いです。出題されるとわかっているのに、正答率が低いということは難しいということだと思います。正直、私も正解する自身がありません(笑)。そして実務ではあまり必要がありません。

医療制度ごとの高額療養費、申請手続きについて

  • 大企業では健康保険組合を独自に運営していることが多いですが、健康保険組合の多くは高額療養費の計算は健康保険組合が自動で計算して給与口座に数ヶ月後に自動的に払い戻されるシステムになっているところが多く、申請する必要がないです。
  • 中小企業が加入していることが多い、全国健康保険協会では計算と申請が必要ですが、申請書を提出しさえすれば、全国健康保険協会で計算が間違っていても訂正してくれます。計算がわからない場合は、申請書に被保険者と被扶養者の自己負担額を全て書いて提出すれば、計算してくれると思います。申請は会社の担当部署を通して申請する会社と、全国健康保険協会に患者さんから直接申請することを慣習としている会社があり、働いている会社によりそれぞれの慣習があると思います。一度会社の担当部署に確認するといいと思います。ルールとしては、請求する被保険者が全国健康保険協会と直接やりしても全然問題はないです。会社がよくわかっていない場合は、全国健康保険協会各支部に直接問い合わせるのがいいと思います。
  • 国民健康保険も各自治体により、多少の違いはありますが、高額療養費に該当している場合は、各自治体から通知がきます。その通知に払い戻される金額が記載されていますので、署名、捺印をして返送するだけで手続きが終わるところがほとんどだと思います。これも、詳しくは各自治体にお問い合わせください。

参考までに全国健康保険協会の申請書はこちらです。

限度額適用認定証

医療費が高額になることが事前にわかっている場合は、保険者に「限度額適用認定証」を事前に申請して医療機関の窓口で提示するこにより、窓口で負担する額を自己負担限度額までとするこができます。
自己負担限度額とは高額療養費制度の自己負担額限度額のことであり、所得区分により分かれています。
自分の加入している医療保険制度の保険者確認は、健康保険証を見ればバシッと書いてあります。

国民健康保険の場合は市区町村の担当窓口(国民健康保険課など名称は市区町村により異なります)で限度額適用認定証を申請すれば、すぐに発行してくれる市区町村が多いと思います。

働いている人は、会社経由で限度額適用認定証を申請する会社と、会社を通さず直接保険者に申請する会社の2つのケースがあると思います。まずは会社の担当部署に相談してみるのがいいと思います。会社がよくわかっていない場合は、直接保険者に問い合わせてみましょう。働いている人の場合は、会社経由であっても、保険者と直接であっても郵送のやり取り等が発生するので、申請〜限度額適用認定証が手元に届くまで一週間ぐらいかかることが多いです。入院等の予定がある場合は、余裕を持って申請しておきましょう。

申請期間

申請書に申請期間の記入期間欄があります。申請できる期間は保険者により異なりますが、最長の期間(3ヶ月〜1年)で申請することをおすすめします。がんの場合はフォローの検査などで入院後の通院も予想されるので、短い時間だと申請が面倒です。
参考までに全国健康保険協会においては申請書はこちらです。

限度額適用認定証が高額な医療費を支払う日に間に合わなかった場合は、窓口で自己負担割合(3割)を支払い、後日高額療養費を申請すれば返還されるので安心してください。
クレジットカード払いができる病院であれば、ポイントを貯めることができるので、限度額適用認定証をあえて使わない人もいるらしいです・・・(笑)。

高額療養費、限度額適用認定証の計算例

 

 

 

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