人はなぜ働いているのか?
この答えは一人ひとりにより違うと思います。働く目的は人それぞれで、仕事に対するプライオリティが高い人もいれば、そうでない人もいると思います。がん患者となり、人生が永遠ではなく終わりがあると認識した人では考え方も変わってくるかもしれません。今回はがん患者のワーク・ライフ・バランスについてフランクに考えてみたいと思います。

人が働く意味

憲法27条において「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」と明記されています。ちなみに、憲法26条では教育の義務、憲法30条では納税の義務、が明記されており、教育、勤労、納税が国民の3大義務と言われています。義務といっても強制力のあるものではないですが、働いて納税するべき、という感じでしょうか。
ちなみに私は、2017年11月に仕事を辞めてから、ほぼ無収入になり勤労と納税の義務を怠っていたので、偉そうなことは何も言えないのです・・・・。

ダイバーシティが求められる現代社会では、働き方も多様化し、仕事にたいする価値基準も変わってきていると思います。下図は「働く目的」を世論調査で聞いたものです。

出典:内閣府国民生活に関する世論調査「働く目的は何?」(令和元年度)

お金のために働く」という答えが56%と一番多いですが、お金のためと言ってもそれは自分のためだけではなく、家族のため、子供のためなど様々だと思います。
私も仕事が生きがいではなく「お金のため」に働いていた部類の人間です。しかし、ただ「お金のため」だけではなく、複合的に「社会の一員として、務めを果たすために働く」や「自分才能や能力を発揮する」のようなことも含まれていたと思います。

ワーク・ライフ・バランスとは

日本語では「仕事と生活の調和」と訳され、内閣府が定めた「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」ではワーク・ライフ・バランスが実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義されています。

また、同憲章では社会のあるべき状態について次のように示しています。

1.働く機会を得て経済的自立が可能な社会
2.健康で豊かな生活のための時間を持てる社会
3.多様な働き方や生き方を選べる社会

働く人のメリット

ワーク・ライフ・バランスの実現により、自分や家族のために時間を使えるようになり、趣味やリラックスできる時間を過ごすことにより私生活が充実し、心身の健康状態が向上する

企業のメリット

ワーク・ライフ・バランスの実現により、業務が効率化され、従業員のモチベーションがあがり、結果的に生産性が向上すると同時に、従業員のプライベートの充実は、過労による病気や自殺をなくすことにつながり、企業活動に大きなメリットを与える。

がん患者にとってのワーク・ライフ・バランスとは?

私自身が、がん患者になり一番大事にしてきたことは、「後悔なく自分らしく生きること」です。そのためには、自分の価値基準で大切なことを大事にしながら、時間を大切にして生きていこうと思いました

大事にするものの価値基準は一人ひとり違って当然ですが、私の場合は家族との時間と乃木坂46を推すことを一番大事にして生きてきました。家族と乃木坂46の割合は「7:3」ぐらいでしょうか(笑)。妻に「7:3」っていったら怒られますね・・・。

しかし、生きていくためにはお金が必要です。また、仕事に行き、社会との関わりを持ちたいとも思っていました。がん患者で、働いているときにがんに罹患した人は、おそらく全員が仕事についてどうしようか考えると思います。
私も仕事と治療の両立はかなり悩みました。
私の治療と仕事の両立は「代表経歴・治療歴」を参照にしてください。

また、家事をメインにしている主婦(主夫)の方においては、家事がワーク・ライフ・バランスにおける「ワーク」と捉えていいと思います。ある調査によると、主婦の働きは年収400万円と同レベルだという調査もあり、個人的にはその意見にとても賛成です。主婦の方が、がんに罹患した場合は、家事が思ったようにできなくなり、家族の生活様式を変えていかなければならないかもしれません。

そこで必要となるのが、がん患者の「ワーク・ライフ・バランス」です。
「ライフ」とは、生命、生活、人生などの意味があると思いますが、がん患者の場合は闘病生活も含まれると思います。

私は「ライフ」にそういう意味をこめてBON JOVIの「It’s My Life 」を聞いています(笑)。
良いライフがあるからこそ良いワークが引き出され、良いワークがあってこそ、良いライフ得られます。

治療と仕事の両立はワーク・ライフ・バランスそのものです。

私が社会保険労務士になった大きな理由が、経済的理由や治療と仕事の両立で悩んでいるたくさんのがん患者さんを見てきたからです。経済的悩みと治療と仕事の両立は多くの場合はつながっています。そんな時に悩んでいる患者さん達に適切なサポートを届けたいと思ったからです。

1人でも多くのがん患者さんが、仕事を理由として治療機会を逃すことなく、また、治療を理由として仕事の継続を妨げれることなく、きちんとした治療を受けることができるようになればと思います。

治療と仕事を両立させるためには、患者、医師(医療者側)、企業(産業医)でのトライアングルな中での調整役が求められることもあると思います。下図参照

出典:労働者健康安全機構(両立支援コーディネーターマニュアル)

私が顧問を務める「NPO法人肺がん患者の会ワンステップ」の長谷川代表は、がんと闘うために「知ることは力」といっています。そのことは、がんという病気と闘うために、がんという病気を知ることはもちろんですが、闘病生活において、使える支援制度を知ることも同じだと思っています。

労務管理のプロとしての社会保険労務士とし、トライアングルの仲介役として両立支援コーディネーターとして、そして1人のがんサバイバーとして、働ける人または働くことが生きがいという人には、できる限り「治療と仕事の両立支援」を、病状により働けなくなってしまった人には「働かなくても生きていけるように支援制度の周知」することにより、1人でも多くのがん患者が自分らしく生きていけるようにサポートしていきます。

 

 

就労や支援制度の無料相談はこちら

お問い合わせフォームよりZOOM無料相談のご予約を承ります。

 

お問い合わせフォームからご希望のお時間をお選びください

 

就労・支援制度の無料相談はお問い合わせフォームから予約の受付となります。
お電話ですぐの対応はしていませんのでご注意ください。

就労・支援制度お問い合わせフォーム